SkeedOzの技術開発
P2PアーキテクチャとIoT分野への取り組み、
そして実証実験を経てSkeedOz誕生に至る経緯についてご紹介します
P2PアーキテクチャとIoT分野への取り組み、
そして実証実験を経てSkeedOz誕生に至る経緯についてご紹介します
※本稿では、株式会社Skeed(2026年1月1日付でSCSK株式会社に吸収合併)について、当時の名称で表記しています。
SkeedOzの原点は、ファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子勇の研究にあります。
Winnyは、特定のサーバーを使わずにユーザー同士が直接データをやり取りするP2P(ピアツーピア)型ネットワークを元に実現しました。特にキャッシュやクラスタリングの仕組みにより、匿名性・耐障害性・効率性を高い次元で実現し、当時のインターネットに大きな衝撃を与えました。
その思想は「中央に依存せず、自律分散的に情報を流通させる」という考え方です。後に金子は、この仕組みをIoT通信や大規模データ流通に応用できるのではないかと着想しました。これがSkeedの技術開発につながる第一歩となりました。

なお、Skeed(現 Collaboview技術開発チーム)ではWinnyを源流とした独自のP2Pアーキテクチャを「SkeedTech」として定義しており、SkeedOzを含む様々なプロダクト開発の指針としています。
2013年、Skeedは総務省の研究開発プロジェクトに参画。「ロバストなビッグデータ利活用基盤技術の研究開発」と題し、IoTやM2Mで発生する膨大なトラフィックを安定的に処理できる自律分散基盤の開発に取り組みました。
■ 研究の目的
■ 技術的アプローチ
当時はクラウド一極集中が主流でしたが、Skeedは「分散によるリスク回避」と「動的スケーラビリティ」という新しいアプローチを打ち出しました。この研究成果により、P2PアーキテクチャのIoT分野への活用に向けた重要なステップを踏むこととなりました。
Skeedは「技術を社会課題に役立てたい」という思いから、徳島県美波町での総務省プロジェクトに参画しました。
この地域は南海トラフ地震による津波リスクが高く、災害時に「通信が途絶しないこと」が住民の安全確保に直結することから、町民参加する形で大規模に検証が行われました。
■ 実証実験の目的
■ 実証内容
■ 成果
この成果は地方創生・防災対策の両面で評価され、次の「SkeedOz」の誕生につながりました。
美波町での実証を経て、SkeedTechをベースにSkeedOzというネットワーク基盤技術を確立しました。
SkeedOzは、IoT時代に必要な自律分散ネットワーク基盤を中核に据え、センサー情報の収集や制御信号の伝達を効率的に行う仕組みです。
SkeedOzの構成要素 ・ ネットワーク
■ SkeedOzの実装モデル
このようにSkeedOzは、マルチホップ通信による途絶えにくいネットワーク、メッシュトポロジーによる柔軟な展開、分散コンピューティング+エッジ処理による即時性を組み合わせ、止まらない通信・低コスト・拡張性を同時に実現するプラットフォームとなりました。
サーバーを介さず、ユーザー同士(ノード同士)が直接通信する方式。分散型で耐障害性が高いのが特徴。
一度取得したデータを一時的に保存しておき、次回以降の通信を効率化する仕組み。ネットワーク全体のレスポンス改善や匿名性の確保にも役立つ。
ノードを特性ごとにグループ化する仕組み。ネットワーク内の探索効率や処理性能を向上させる。
既存の物理ネットワークの上に構築される仮想的なネットワーク。アプリケーションの要件に応じて柔軟に構成できる。
中央の制御機構を持たず、ノード同士が自律的に経路や役割を決定するネットワーク方式。障害発生時も全体が維持されやすい。
データを複数ノードに分散格納し、冗長化することで可用性と耐障害性を確保する技術。クラウドの一極集中リスクを避けられる。
大規模計算を小さな単位に分割し、複数ノードが分担して処理する方式。ノードの増減に応じて処理能力がスケールする。
ノードの状態(性能・帯域・位置情報など)に応じてリアルタイムにグルーピングを変更する仕組み。ネットワークの効率と柔軟性を高める。
ノード間でデータを中継しながら転送する方式。障害回避や長距離通信に有効。
ノード同士が網目状に接続されるネットワーク構造。経路の多重化で高い信頼性を実現。
複数ノードに処理を分担させ、協調的に大規模演算を行う方式。
データをクラウドに送らず、デバイスやノード近傍で処理する方式。リアルタイム性と効率性に優れる。
システム規模を拡張しても性能や効率を維持できる性質。IoTのようにデバイス数が急増する環境で特に重要。
SkeedOzの詳細はこちらをご覧ください。
SkeedTechおよび同アーキテクチャをベースに開発された
SkeedOzについて解説します。
SkeedTechは多数の分散されたデータを効率良く保存、管理、送受信するための独自技術群であり、3つの根幹技術で構成されています。

中心となり制御するサーバが
存在しない通信方式

インターネット上の仮想ネットワーク、
IPアドレス以外で存在を特定する

検索キーワードと回線速度で
オーバーレイネットワークを
自律的に構成する

SkeedOzはこのSkeedTechのアーキテクチャをベースとしたものです。

SkeedTechにみられる多数のマシン間における協調動作の考え方から、クラウド環境やデータセンタなどのサーバ、パソコン、スマートフォン、セットトップボックス、スマートデバイスやセンサーデバイスなど、有線無線を問わずネットワークに参加できる様々な機器を自律的なノードとしてふるまわせて相互に接続することでオーバーレイネットワークを構成し、全体としてそのリソースを利活用しようとするもの、それがSkeedOzの底流にあるコンセプトです。
その目指すところは全体として、より大きな大きなネットワーキングやコンピューティング、ストレージなどのリソースとして利用可能にする仕組みを実現することにあります。構成するノードは多様なリソースを持つところ、統計に基づいた通信経路や通信帯域の自動的な制御の考え方を用いてその利用可能なリソース状況に応じてオーバーレイネットワーク上の役割を割り当てます。その結果、各ノードに適した方法によってリソースを活用し、キャッシュおよびプロキシによる高速なレスポンスの実現、各種の独自プロトコルによる、高性能かつ信頼性の高いファイル転送、暗号技術の活用による厳密なセキュリティおよび整合性確保のそれぞれの考え方を活用して規模にとらわれず、それらを取りまとめることで可能となります。

SkeedOzは独自の自律分散技術により、大量データをクラウドなどに集約することなく、端末側で自律的に流通・蓄積・処理するIoTデータ流通基盤技術

ノードとなる機器はネットワークによってこの仕組みに接続されることから、ネットワーキングの仕組みが中核をなすものとなります。
このオーバーレイネットワークは、多数のノードが接続しながらも、様々な指標を考慮しながら各ノードの役割やノード間の経路を動的に変更しつつ、通信経路上においてネットワークの通信経路への負荷の集中を回避してトラフィックを分散させるよう通信経路を選択して相互に接続し合い、これを自律的に構成しようとするものです。
その様々な指標には固定的な指標だけではなくその時々において変化する値も含んだ指標を含み、それにはたとえば、プロセッサの種類やメモリの量、下位通信レイヤの利用可能な通信方式や最大帯域、地理的情報など種々の静的な情報や、時系列によって変動するような実効ネットワーク帯域や接続可能数、継続して利用可能な資源情報、それらの休止状況を含んだ連続稼働時間、機器の移動による影響などの種々な動的な情報が挙げられます。
このような指標は自ノードによって申告される情報によってのみではなく近傍の他ノードによって外部観測できる情報も利用することにより全体的な安定性をより高めることができ、相互に情報を交換し合うことにより各ノードの総合的な貢献可能度を判定しつつ役割分担をしながら、常時状態を適切に変化させながら自律的にノードを多階層化およびグループ化することで、ノード数の規模によらない可用性の高いオーバーレイネットワークの構成を目指すものです。
もちろん、このような仕組みはあらゆるノードで全ての機能を画一的に持たなければならないものではなく、その機器の性能や利用のされ方などを考慮してそれ応じた部分的な機能のみを持ってもよいため、あらかじめ定められた範囲内での貢献のみを行うことを前提としたノードがあってもよいことになります。

階層化の有効性検証のために大量離脱に耐える非構造化オーバーレイネットワークを構築。ネットワーク維持の通信コスト半減、さらにノード規模に制約されず、数百万ノードでの自律分散型ネットワークを1.5秒程度で構築することに成功。

また、このネットワーキングのオーバーレイネットワークを利用することにより、たとえばストレージやプロセッシングなどの用途ごとのオーバーレイネットワークを構成してそれを利用することもできます。
このストレージとは可用性確保のために多重化してデータを冗長性を持たせて複数のノードで分散格納するとともに動的なキャッシュを活用することにより頻繁に書き換えることが無く専ら利用と保存を行う必要がある情報を扱おうとするものであり、このコンピューティングとは単一の箇所で大きな処理を行わせるのではなく専ら一つの処理を複数の箇所で分担させることが可能な処理を複数のノードにおいて分担して行おうとするものあって、いずれもデータ発生源の地理的またはネットワーク的近傍のノード群において主としてそれらを自律的に行わそうとするものです。
いずれもネットワーキングとは異なるオーバーレイネットワークを利用することになり、その構成にあっては多階層化およびグループ化をネットワーキングとは異なる指標をもって各ノードが役割分担を自律的に行うこととなり、その重きを置くべきものはたとえば、利用可能なネットワーク帯域の太さの他に、ストレージにおいては供出可能なストレージ量など、コンピューティングにおいては供出可能なプロセッシング能力や電源供給の安定性など、ということになります。

特許第6742777号(自動負荷分散情報処理システム)
SkeedTech/SkeedOzに関する特許技術、その他関連情報についてご紹介します。
現在、登録済みまたは審査中の特許情報は以下になります。
「SkeedTech」当社特許技術を含む独自のP2P自律分散アーキテクチャの総称です。
「SkeedOz」はSkeedTechをベースに開発されたIoTデータ流通基盤技術です。
「CollaboView」はSCSK株式会社(株式会社Skeedの親会社) の登録商標※です。
※商標 第6359148号
お気軽にご相談ください。