愛媛県新居浜市に拠点を置く株式会社タステム. は、オーダーメイドの金属加工会社として設計から塗装、機器取付まで多品種少量生産を得意とし、主要製品であるクレーンなど荷役運搬整備用運転室の設計製造では国内トップクラスの実績を誇る。業績好調の背景には急な仕様変更にも対応する一貫した顧客第一の姿勢とともに、従業員との一体感と健康を重んじる経営がある。今回、愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクトの対象企業としてCollaboViewファクトリーを採用し、現場環境の安心安全向上に新たな可能性を示した。
●夏季における作業員の熱中症リスク
●溶接作業時のヒューム(有害な金属粒子)対策が不十分
●作業環境データのリアルタイム可視化
●熱中症リスクが高まった時のアラート発信
●熱中症発症時の生成AIによるサポート機能
●溶接ヒューム濃度の常時モニタリングと換気効果の可視化
株式会社タステム. の製造現場は20,600㎡の敷地に建屋全5棟が並ぶが、各棟で異なる工程作業が行われ、その内容も顧客の要望に合わせて日々変化する。いわゆるジョブショップ型といわれる生産形態だが、フローショップ型と異なり従業員は同じ場所にずっといる訳ではない。そうした中で夏場は高温環境下で熱中症リスクに晒されても周囲が気付きにくいという懸念がある。これまでも製氷機を事務所に設置しエアコン付きの休憩室を各棟に設けるなどして対策は講じてきたが、従業員の自己管理に依存する部分が大きい。さらに症状もケースにより異なるため、経験の浅いリーダーなどは適切な指示を出すことも容易ではない。また、溶接作業ではヒュームと呼ぶ金属粒子が空気中に拡散するが、有害なため一定以上(マンガンとして0.05mg/㎡以上)の濃度に達すると換気を行うなどの措置が必要になる。法的には年1回の外部機関による測定が定められているが、同社は製作物毎に溶接作業の担当人数も作業現場自体も異なってくるため、それだけでは職場環境の安全性を常時確認することは困難だった。同社の代表取締役高橋卓也氏はこうした従業員の安全確保を経営の最優先事項と考え、より客観的で精度の高い対策の必要性を感じていた。そんな折に愛媛県からデジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」への協力依頼が舞い込んだ。最初はDXがどういうものか、巷では話題になるもののあまり理解できていない状況だったという。しかし、「SCSKの担当者と会話を重ねる中で、データを収集し作業環境を可視化し適切な対応が取れる仕組みを構築すれば、より安全な職場を実現できることが明確になりました。」(高橋氏)と協力の意向を固めた。
計測検証
・溶接作業期間、業者によるヒューム濃度計測およびセンサによる微粒子濃度の計測を行い、溶接作業によるヒューム影響を可視化
・換気中の建屋内や他作業建屋、屋外の微粒子濃度計測を行い、換気による効果や現場の安全度を可視化
センサーによる微粒子濃度/個数の計測(溶接作業建屋、他作業建屋、屋外にて常時実施)
実際の導入は、現場環境の可視化に向けてCollaboViewファクトリーのセンサー(温度計、湿度計、微粒子)と通信設備を各棟の現場各所に配置。その上で、まず熱中症対策として工場内の温度・湿度をリアルタイムで取得する事で管理者が適切なタイミングで作業員に休憩を促せるようにした。データが一定の閾値を超えた場合には、自動でアラートが発信する仕組みも構築し、従来の「体調が悪くなったら休憩する」という自己診断的な対応に加え「リスクが高まる前に休憩を促す」という会社(管理者)が、職場環境を把握し把握し必要な対応、指示を直ぐに行える仕組みも実装した。また、実際に熱中症を発症した場合には、介助者が「飲水できるか」「痙攣しているか」等々の症状を入力すれば、即座に生成AIによる症状診断および対応手順を表示し適切な処置をサポートする機能も付与した。溶接作業におけるヒューム対策では微粒子センサーを活用。ヒューム濃度の変化をリアルタイムでモニタリングし、危険なレベルに達する前に換気のタイミングを判断できる。これまでは自己判断するしかなかったが、客観データの見える化で作業員の健康リスクを軽減する事が可能となる。なお、熱中症対策に関しては当実証実験の取組みが12月から2ヶ月間という冬季の期間であったため、来夏に改めて検証し効果確認を進める予定だ
高橋氏は今回の実証実験に対して「ここまで安全に配慮した職場はなく、企業にとっては非常にPRになる」とその意義を語る。DXを進めるに当たっては従業員の管理ではなく、まずは安全な環境作りから取り組みたいというスタンスだが、今後についても「このPoCの実績とそのフィードバックを通じてSCSKと相談しながら深掘りし、タステム.独自のもの、社員の為になるものを作り上げていきたい」と、CollaboViewファクトリーの可能性に期待を寄せる。
企業名 :株式会社タステム.
所在地 :〒792-0032 愛媛県新居浜市政枝町三丁目2番1号
設立 :1958年7月31日
主要事業 :荷役運搬設備用運転室、機械室、電気室の設計・製造、配管ラック、
半導体設備フレーム機器カバー、歩道、手摺り、レーザー加工、
曲げ加工スチール、ステンレス、
アルミ製建具の設計・製造・施工・販売カーテンウォール、一般サッシュ
代表取締役 高橋卓也 社長
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